”Mac”

”Mac”

洋服にはシーズンやトレンドというものがある。その時代に合ったファッションというものは確かに存在するもので、何年代はこんな感じだったとか、この時代のリバイバルだとか、トレンドというものを意識するような表現は日常的に耳にするのではないでしょうか。洋服を着る上でこのシーズンやトレンドは、特に装飾的な意味を持つ場合は切っても切れないもの。ただ、世の中にある洋服の中にはその時流から外れるものも多くある。シーズンという言葉だけをフックすれば、古着なんていうカテゴリーは全てその中から外れていくが、今日でも多くの人に着用されている。要はいつの時代にもシーズンだとかトレンドだとかは関係なく着たいものがあるということ。よく聞くような気がする、あの時のあれってもう無いんですかという言葉。その時気にはなっていたが買えなかったもの、よくよく考えてみるとすごく魅力的なもの。一過性ではなく自分のスタイルが決まってきたからこそ改めて良いと思えるものも多くあるでしょう。今日はそんなものをご紹介していければ。

通称"Mac"という名前で製作されたコート。本来マックコートとはレインコートを意味するもの。ここでは定番のとか身近なのような意味で付けられているのか。そのシーズンによってシルエットは変われどステンカラーのベースをした側に置いておきたい一着。

まずは生地から。欠かさず製作しているスーツ。ブランドの真骨頂とも言えるこのスーツは毎シーズンオリジナルのスーツ生地で製作されており、スーツ生地もそのシーズン毎にアップデートされている。この生地はウール×シルク×モヘアの3者混。これまでの定番として使用していたウール×シルクの混紡生地に比べると、獣毛特有のハリコシが出る様な仕上がり。適度な光沢も感じられ高級感を味わって頂けるものに。デザイナーが試行錯誤を重ね、完成させたスーツ生地、今回はそのこだわりの生地に対して更にひと手間を加えて。

部分塩縮。恐らく聞き馴染みのない言葉であろうこの加工方法。そもそも塩縮加工とは。苛性ソーダと言われる薬品につけることで生地に独特な凹凸を生み出す加工方法のことで、一般的にはその薬品に生地を浸ける様にして加工を施していくもの。この塩縮加工を更に特殊な方法で施したのが今回。ロール状の生地に対して、ボーダー状に刷毛でこの薬品を塗布していく部分塩縮。その名の通り、部分的に塩縮加工がかかる様になるので通常の塩縮加工よりも表情が豊かに。機械自体が職人のオリジナルのもの様で、滅多にお目にかかる事のできない表情。加工にかかる時間だけでも数ヶ月というのだから非常に手間暇のかかったもの。

デザインとしては至ってシンプル。ステンカラーコートをベースに着丈は長め。その着丈に合わせるようにフロントは高めの3つボタン。これにより着用した時に自然な動きの出るようになっています。ボタンはオリジナルで削り出した水牛ボタンを使用。ミニマルなデザインの中で効いてくるポイント。

ブランドの中では比較的ゆったりとしたシルエット。生地自体そこまで地厚なものではないが故、インナーを調整しながら長いシーズン着用できるのもこのコートのポイント。その時にしか着れないものの良さはあれど、着方次第でその時々に着用できるのは嬉しいところ。これからの季節には厚手のニットにも対応してくれるでしょう。

単なるオーバーサイズというわけではないのが流石。綺麗なシルエットは保ちつつ、ゆとりを持って着用できる。案外出会うことのできないシルエットではないでしょうか。リラックスした雰囲気にはスタイルを締めてくれる役割を果たし、きっちりしたスタイルの時には適度にその雰囲気を崩してくれるので、スタイルも選ばず着用可能。

本当の意味で長く着用できるものというのは人それぞれにあるかと思います。自分なりのいつになっても側に置いておきたい一着を見つけてみては如何でしょうか。

"Mac"